2020年9月3日木曜日

【Fランク大学論基礎】 国立薬学部とFラン薬学部 どちらを選ぶか

 タイトル一本釣りでないか、とのご指摘は仕方ないだろうが、一方で、この二択で国立大以外無いという解答を出すのは少々甘すぎる。

いうならば、Fランク大学というものの奥深さを知るきっかけとなる文章と思っていただきたい。普段なら、駄文と自ら申し上げるところなのだが、今回に関しては、簡潔かつ、明快に、まとめ上げることをお約束しよう。

 

論点① 国公立大学薬学部の数

薬学部を志願する高校生は非常に多い。理由は様々あるのだが、一般的には、

医学部医学科よりも簡単そう+医療系資格は強い

というところから志願するのだが、実は、医学部よりも薬学部のほうが国公立大学定員が少ない。具体的にどれだけかというと、その数わずか17大学である。国公立大学全体で170大学あること、うち、医学部医学科がある大学が52大学というのを知っているとこれがいかに異常な数値か分かるだろう。もちろん、各大学野ごとの定員もあり、単純に大学の数が3倍なら、定員も3倍とはならないが。

一言でまとめれば、国公立薬学部は非常に狭き門である、に尽きる。

 

論点② 薬剤師になれるかどうか

まず第一に国公立大薬学部は、大学によってさまざまな特色があることをご理解いただかなくてはならない。

例えば、東北大学薬学部と北海道大学薬学部。大学のレベルとしては東北大が若干勝るが、薬学部の偏差値は北海道大学が大きく勝る。この違いは一体・・・

実は、東北大学薬学部は、一部の生徒(具体的には20人)しか薬剤師になれない。北海道大学は、よほど単位が足らなくない限りは、薬剤師コースを選べる。???といったマークが頭上に表示されている方へ、簡潔に説明すると、薬学部は薬剤師コース(薬学科)と製薬コース(薬科学科)に分かれることが多く、製薬コースのほうでは薬剤師になれないのが一般的であるということだ。そして、多くの私立大学は、そのコース分けを入学試験の際に行っているが、国公立大のほとんどは、入学後にコース分けを行う。大学によっては成績優秀者から順に選択するということもよくある話だ。

なぜこのようなことが起きているか。そもそも、資格を取得するために大学に行くというのは、大学の本質から考えるとナンセンスである、というのがこういう仕組みを採用する大学の考えで、大学は研究機関だから、という言葉が入る。対照的に、入学希望者の大半は、資格取得・職業訓練の場として大学を考えている。ここに溝があり、古めかしい大学ほどその溝を把握しながらも、無視する傾向にあるのだ。

閑話休題。また、そもそも、薬剤師国家試験の合格率が低い。2020年の例でいえば、高いとされる国公立でさえ、90%前後にとどまることが多く、ひどいところは80%ほどになる。

https://www.yakuzemi.ac.jp/information/105_result/ (参考)

初めに、私立大学薬学部の闇から語れば、私立大学の合格率の高いものは、たいていは受験者そのものを絞っている。例えば、大学6年になる前に退学させたり、留年させたりして、本当に頭の良いものだけが受験資格を得られる仕組みを作っているのだ。ゆえに、入学者数と受験者数が合わないことが多い。

そんなズルをしなくてはいけないくらいには、薬剤師国家試験というのは難しいものであり、少なくとも、真の優秀な者しか突破することはできないものなのだ。いくら金を積もうが受かるものではないとご理解いただきたい。

さればこそ、国立大学も、その大学に入ったからといって受かるわけではないし、例えば先の東北大学では、優秀な学生からさらに抜粋した学生であったとしても、全員が受かるものではないのである。言わずもがな、薬剤師になれないのに薬学部に通っていた学生が誕生する。

 

論点③ 薬剤師は就職有利か

世の中には、数字を正確に読めない方もいるようで、「薬学部 就職難」で検索をかけたときに見かけたさるブログの記事がそれを顕著に表している。先方の名誉のためにリンクを張ることはしない。その自称有識者曰く、

『現在の薬剤師有効求人倍率が約10倍で、例えば40代の薬剤師が6.6万人いて、毎年1万人ほどの薬剤師合格者がいるので、10年間で10万人だから、20年後だって、まだまだ有効求人倍率は満たされない。』

というのである。これが自称とはいえ、コンサルタントを名乗っているのだから、日本の崩壊は近いとみていいだろう。

まず第一に、なぜ、有効求人倍率が10倍なのかを考える。これは言うまでもないことだが、ドラッグストアの店員は薬剤師であり、スーパーの薬コーナーの店員も薬剤師だからだ。もちろん、時給が悪いわけではないが、正社員であることは少ない。しかし、有効求人倍率とは、非正規雇用ももれなく含まれている。

第二にこの試算でさえ、薬剤師は増えている。まして、近所の薬局に行けば、老骨にムチ打ち、薬局を開店させているご主人に会える方もいるだろう。地方ほど、後継者不足云々で老体が店長を務める薬局は増えていく。これから、定年上限が上がっていくのにこの試算はいかがなものか。楽観主義極まれりといったところか。

第三に、有効求人倍率が1倍にならなければよいという思考がまるで意味が分からない。有効求人倍率が1.6の2019年は言うほど就職易だったのであろうか。もちろん、答えはNoであるわけだが。「10倍もある=薬剤師は求められる」というのは、稚拙な論理と切り捨てざるを得ない。

・・・まあよい。結論から言おう。薬局の店員的な薬剤師は必要とされているが、病院内薬局のような優等生用の椅子はそれほど多くない。

 

以上で論点が出そろった。これより、Fラン大薬学部推奨を始める。

その上で、先に予想される反駁をつぶしておく。

(ア) 金が高い ⇒ 私立薬学部は下のランクほど特待制度が充実している。合格実績を稼ぐため、優秀な学習を集めたいから。中には6年間学費無料の大学もある。

(イ) 就職がない ⇒ 製薬会社に努めたいなら最初から薬剤師コースに行くべきではないし、薬剤師になるならどんな大学出ても結局薬局勤めのほうが良い。

(ウ) ネームバリューが大事 ⇒ なら、薬学部自体を辞めたらよろし。

 

さて、Fラン大学薬学部にいこう。おすすめは、

千葉科学大学  かの有名な加計学園である。銚子市。6年無料コースあり。

青森大学  真のFラン大学。もちろん学費無料コースもある。

横浜薬科大学  漢方薬学科という変わった学科がある大学。もちろん無料。

医療創生大学  様々な医療系資格が取れる。どれも、無料・半額があり。

ここら辺が、Fラン大学の中での特待生だ。

あれ?Fラン大じゃない大学は特待生ないの?って訊く方。もちろんあります!国際医療福祉大学・近畿大学など、色々な有名大学が特待制度を作っています!

それをしない理由とは何ぞや。言わずもがな、有名私立大学の特待生は難関国公立大学よりも難しいからである。

では、Fラン大なら簡単か。答えは何とも言えない。だが、考えてほしい。そもそも私立大学は科目数が少なく受験ができる。さらに、国公立大のように一発勝負ではない。さらにさらに、たいていの入試は11月~1月と、入試時期も早い。

 

タダで大学に行くことができる。これを知っているだけでも大学入試は戦略の幅が広がるとだけまとめておこう。

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